アートセラピー(芸術療法)
アートセラピーとは
アートセラピーとは、アートつまり芸術を用いた心理療法です。絵画を用いたアートセラピーが一般的ですが、粘土やコラージュなど、幅広い画材を用いたセラピーがアートセラピーに含まれます。
また広い意味では、ダンスやイメージや音楽などといった「表現」するものすべてをアートセラピーに含めることもあります。その場合、欧米では特に「アーツセラピー」(Arts-therapy)と呼ばれます。
アートセラピーでは、創作活動を通して自分の心の状態を表現しますが、表現されたアートから心の状態を読み解くことが目的ではありません。アートセラピーでは表現すること自体にセラピー効果があると考えます。表現方法は完全にフリーテーマのものから、ある程度テーマを設定したものまで様々ですが、クライアントの状態やセラピーの目的などを考慮し、セラピストがテーマを設定します。
アートセラピーの効果
感情を表現することによる発散効果
表に表現させにくい怒りや悲しみなどの感情をアートの作品に表現することにより、心をスッキリさせることができます。感情を溜め込むとストレスにつながります。怒りの感情でイライラするなら、真っ赤なクレヨンで噴火や爆発の絵を力いっぱい描くことでスッキリさせることができます。
作品に表れた自分の心理状態を客観的に受け入れる効果
アートセラピーで表現した作品には、心の状態が表れています。作品をセラピストといっしょに読み解いていくことにより、自分の心の状態を客観的に理解し、受け入れて、自分の力で処理できるようになります。
作品を通した人との交流
アートセラピーでは作品を作った後に、作品について話し合うことが多いです。高齢者なら作品を通して昔話に花を咲かせたり、子どもなら作品のイメージで遊んだりと、作品を通した周囲との心の交流ができます。
手先を使うことによるリハビリ効果
作品を作るために、構造や色を考え手先を動かすことにより、脳や筋肉に適度な刺激を与えるリハビリ効果があります。
アートセラピーの資格
・アートセラピスト
・臨床美術士
アートセラピーの問題点
アートセラピーは子どもから高齢者まで幅広く適用できるセラピーですが、退行現象を起こしやすく、精神的に不安定な人に適用するには注意が必要です。また、自分で絵が苦手だと思っている人は導入で簡単なアートを取り入れることにより緊張をほぐしていくことができますが、逆に絵が好きで防衛的に上手なアートを表現するような人には向いていません。そういった人には、アートセラピーよりも言葉を用いたカウンセリングの方が適しているでしょう。
関連キーワード
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